はじめまして!この度、「山学生日記。」を開設しました。とってぃーです!
僕は高校時代、山岳部に所属し、インターハイ出場を目指していました。しかし、

高校の山岳部の大会、がんばりました!!

山岳部の大会って何競うの?登るスピードとか…?
こんな感じで、競技内容はおろか、大会の存在すら知らない人が多いんです。
この記事では、初心者でも分かるように、OBの僕がゼロから解説していきます!!
高校山岳部の大会の目的
一言でいうと、ズバリ、安全に登山する能力をチェックすること です。
この登山大会は、正しい高校登山の在り方を求め、その着実な展開と研究を主目的として安全登山を推進するためのものである。
全国高等学校登山大会成績評価実施要領より抜粋
登山は、楽しい反面、一歩間違えれば死に至る危険なスポーツです。登山を安全に楽しむためには、体力や登山知識、地図読み能力など、様々な力が必要不可欠です。
大会ではこれらの能力を、登山行動やペーパーテスト、テント泊などを通して評価しています。

インターハイの競技なのに、ペーパーテストがあるなんて、意外ですよね!
大会のルールと配点
大会は、3泊4日(県大会は2泊3日)で開催され、4人1チームで出場します。
大会の勝敗は、下の円グラフの項目について、100点満点の減点法で行われます。
勝つためには、身体能力と知力のバランスが求められます。


実際、強豪校の多くは進学校です!
各種目の詳細
円グラフで挙げた各種目について、詳しく解説していきます!
体力(40点)
体力は、100点中40点と、最も配点が高く、重要な種目です。体力は、登るスピードで評価されます。
とはいえ、トレイルランのようなタイムレースではなく、制限時間内(コースタイムよりちょっと早いくらい)に登れるか、を見られています。制限時間に遅れると、どんどん減点されていきます。
また、メンバー同士の間隔が、空き過ぎた場合や、明らかに苦しい表情で登っている場合も、「ついていく体力がない」と判断され、減点があります。
大抵、ほとんどのチームが満点を取ります。しかし、雨などで過酷な環境になると、ここで大きな差がついてしまいます。やはり、強靭な体力は必要不可欠ですね。

笑顔で歩くことは、めちゃくちゃ大事です!
歩行技術(10点)
安全登山のためには、滑りやすい登山道で転ばないよう、歩き方も大切です。具体的には、「歩行バランス(体幹)」「歩幅」「走らない」「歩行リズム」など。
これらを、登山中にできているかを評価されます。

でも、山の中でどうやって?
なんと、実は、森の中に審査員が隠れていて、茂みから選手を見ているんです!!

1秒たりとも気が抜けない・・・
装備(5点)
テント泊を伴う登山では、多くの道具が必要不可欠で、命にもかかわります。

テントを忘れて寝る場所がない!考えただけでゾッとしますよね!
大会要項には、必要な装備がリストされています。(テント、寝袋、コンロ・・など)
大会では、その中から指示されたものをすぐに出せるかどうかを評価されます。
ちなみに、「ヘッドランプの電池を絶縁しているか」など、かなり細かい所まで見られます。
幕営(5点)
制限時間内に、泊まるためのテントを丈夫に建てられるか、が評価されます。ペグ打ちや、荷物のテント搬入などを同時並行で行うため、チームワークが特に求められます。
大雨や強風といった場面を想定しているので、例えば、「道具を散らかしている」「ザックのふたが開けっ放し」などがあれば、巡回している審査員に減点されてしまいます。
設営終了後にも、ロープの張りなどを、さらに詳しく審査されます。

ちなみに、審査中は、選手は交流会をすることが多いです。
他校の選手とゲームや情報交換ができる、楽しいひと時です!
炊事(5点)
大会中は、夕食・朝食をカセットコンロで自炊します。その様子を、主に「衛生面」「安全面」「栄養バランス」の観点から評価されます。
具体的には、「コンロを正しく使えている」「まな板に砂が侵入していない」「インスタント食品に頼らず、栄養素に偏りがない」などです。
レシピは登山計画書に書いたものを見られるので、実食審査はありません(笑)

日頃から料理をするのもトレーニングです。
包丁で指を切り、炊いたご飯はバキバキ。もう地獄でした・・・
テスト(12点)
開会式直後に、ペーパーテスト・実技テストの時間があります。
ペーパーテストは、「自然観察」「救急知識」「気象知識」の3分野があり、4人チームで、「天気図」担当以外の人が、1人1つ分担して取り組みます。
また、ランダムで1人が呼び出され、ロープワーク等の実技を行います。

どの分野も、覚えることがかなり多いです・・・
天気図(4点)
ラジオで放送されている「気象通報」の録音を聞き、情報を紙に写し、天気図を作成します。
また、作った天気図を見て、天気予報の問題を解きます。

時間内で、等圧線を正しく引くのは至難の業です。気になる人は、夕方16時にNHK第2を聞いてみてね!
計画・記録書(4点)
安全な登山、遭難時の救助活動のために、「登山計画書」の作成・提出はマストです。
この大会でも、「メンバーの個人情報」「携行装備」「日程」など、要項で指定された項目を冊子にまとめ、大会本部に提出し、審査を受けます。

第三者が見やすいよう、書式を工夫するのが大変です・・・
中には、表紙に凝ったイラストを描く学校もあります!
また、遭難時や、下山後の振り返りで役立つよう、登山中は要所要所で記録をとります。
「通過時間」「天気」「植生」などを記録し、下山後に提出します。
読図(10点)
地形図と、実際の地形を見比べて、現在地を特定します。
登山コースのある地点に、写真のような看板が貼られています。その地点を特定し、地形図に線を引いて解答し、下山後に提出します。もちろんGPSの使用は厳禁です。

かなり難しいので、下見を入念に行うチームが多いです!!


マナー(5点)
山の自然を守り、他の登山者を思いやることは、登山を楽しむために重要です。「あいさつをする」「ごみを捨てない」といったマナーも審査の対象なのです。
まとめ~山岳部の大会ってこんな感じ~
こんな感じで山岳部の大会では、体力や歩き方だけでなく、様々な面から、安全登山の能力が評価されます。
インターハイ出場のため、全分野で高得点を取るのはとっても大変でした。
残念ながら、僕は県大会で敗退しました。でも、目標に向かい、4人で協力して、全力で取り組む中で、「協調性」や「行動力」など、が付き、人として大きく成長できました!

奥が深い!私もやってみたい!!

高校生活、いや、人生の貴重な経験となること間違いなしですっ!
この記事で、山岳部の活動に興味を持っていただければ幸いです。
そして、中学生のあなた、山岳部でお待ちしています!!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
*1、 地図出典:地理院地図を加工 https://maps.gsi.go.jp/